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なぜ為替差損益を計上しなくて良い仕訳があるのか(外貨建取引)

簿記2級では2017年6月から外貨建取引が試験範囲に含まれました。

外貨建取引で問われるポイントは為替変動で生じる為替差損益です。

この為替差損益、為替が変わった後に売掛金や買掛金を回収すると発生します。

しかし、前受金や前払金の場合は為替差損益は発生しません。

為替が変わったのに、なんで発生しないの?

私もこの差が分からず、最初はミスを連発していました

今回は、為替差損益が発生する仕訳としない仕訳の違いを解説したいと思います。

読んでもらいたい人

  • 簿記2級を取りたい
  • 外貨建取引を理解したい
  • なぜ前受金だと為替差損益が出ないのか分からない人

まずは外貨建取引のおさらいから

ここからは理解しやすくするため、外貨は全てドルと表現します。

まずは為替差損益が発生する仕訳と発生しない取引の具体例を説明します。

架空企業、パブロフ商事の取引と仕訳を見てみましょう。

ちなみにパブロフは、私の好きな簿記テキストから取っています。

簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記2級 商業簿記 テキスト&問題集 第5版

為替差損益が発生する取引

パブロフ商事は1ドル100円の時に、1ドル分のドッグフードを掛けで仕入れました。

この時の仕訳は↓です。
仕入100円 / 買掛金100円

そして、この買掛金を現金で支払うのですが、この時は1ドル110円の円安となっていました。

この時の仕訳が↓です。
買掛金100円 / 現金110円
為替差損益10円

為替変動が無ければ100円の支払いだったのですが、為替変動で支払いが110円と増えています。

この為替変動で損した分を為替差損益として計上しています。

為替差損益が発生しない取引

次は為替差損益を計上しない取引を書きます。

パブロフ商事はドッグフードを仕入れようとしたのですが、取引先の要求に応えて、1ドルの前払金を支払いました。

為替は1ドル100円で、この取引の仕訳は↓のようになります。

前払金100円 / 現金100円

そして、取引先から商品が届けられるのですが、この時は1ドル110円の円安となっていました。

この時の仕訳は↓となります。
仕入100円 / 前払金100円

前払金の仕訳をした時と為替が違うのに、為替の影響を受けていません。

これは、買掛金と前払金では扱い方が異なるからです。

この買掛金と前払金がなぜ違うのかが理解できず、悩んでいました

しかし、貨幣項目(買掛金)と非貨幣項目(前払金)という分類を正しく理解する事で間違えなくなりました。

貨幣項目or非貨幣項目で判断する

貨幣項目と非貨幣項目の定義は次の2つになります。

  • 貨幣項目:将来において貨幣による収支を伴うもの
  • 非貨幣項目:将来において貨幣による決済を伴わないもの

買掛金は将来においてお金を回収するので、貨幣項目になります。

前払金はすでにお金を支払っており、将来において貨幣決済はないため、非貨幣項目に該当します。

同じように考える事で、

  • 売掛金、貸付金、借入金は貨幣項目
  • 前受金は非貨幣項目

だと判断する事ができます。

そして、非貨幣項目についてはすでに、お金の受け渡しが完了しています。

つまり、最初の仕訳をした時点でドルを円に交換できる状態になっています。

だから、非貨幣項目の仕訳では為替差損益が発生しないのです。

まとめ

  • 外貨建取引でも為替差損益の発生する仕訳としない仕訳がある
  • 貨幣項目と非貨幣項目を知ると理解しやすい
  • 非貨幣項目では為替差損益が発生しない

きちんと理解しながら学習するなら、資格スクールに通うのをオススメします。

通学だけでなく、自宅でできるWeb通信コースもあります。

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