NISA終了と譲渡所得の増税はどちらが良かったのだろう
NISAの恒久化が見送られました
政府、与党は16日、期限付きで導入された少額投資非課税制度(NISA)について、恒久化を見送る方針を固めた。恒久化は金融庁や証券業界が求めていたが、現行制度は富裕層への優遇だとの指摘もあり、認めるのは難しいと判断した。
出典:政府、NISA恒久化見送り 富裕層優遇批判で困難と判断 – SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
その代わりなのか、金融所得への課税の強化(20%→25%)は見送られる事になりそうです。
財務省は20年度改正で税率を5%上げ25%とする必要性を訴えているが、先行き不透明な世界経済を背景に、与党内には株式市場の安定化をめぐって慎重論が根強い。政府・与党は引き続き議論を重ねた上で、年末にまとめる税制改正大綱に反映させたい考えだ。
この2つのニュースを並べると、課税強化を見送る代わりに、NISAの恒久化を諦めたという見方もできます。
ところで、現行のNISAが続行して課税強化された場合と、NISA廃止で現行課税の場合ではどちらが有利なんでしょう。
一体どちらのが税金が安いのか?
NISAは年間120万円の限度があるため、元本が多いと節税効果が薄れてきます。
そのため、元本が200〜1000万円の場合において、どちらが有利なのかを実際に計算してみました。
自分の元本ならどちらの税制が有利なのか、参考にしてみて下さい。
計算条件
計算条件は以下のように設定しました。
- リターンは年8%
- NISA分は毎年売却する
- 復興特別所得税は考慮しない
- 元本は200〜1000万円
リターンは株式の目安となる8%を採用しました。
本来NISAの期間は5年間ですが、計算の簡易化のため、毎年売却する事としています。
元本は200〜1000万円で200万円刻みです。
元本毎の計算結果
元本200万円の場合
NISAかつ税率25%
元本200万円で、NISAかつ税率25%の場合の利益は次のようになります。
元本 | 利益 | 税引き後利益 | |
---|---|---|---|
NISA | 120万円 | 9.6万円 | 9.6万円 |
通常 | 80万円 | 6.4万円 | 4.8万円 |
合計 | 200万円 | 16万円 | 14.4万円 |
税率20%の場合
税率20%の場合は2割が税金で引かれるので次のようになります。
200万円×8%×0.8=12.8万円
元本200万円ではNISAの方が利益が大きいです。
元本400万円の場合
NISAかつ税率25%
元本400万円で、NISAかつ税率25%の場合の利益は次のようになります。
元本 | 利益 | 税引き後利益 | |
---|---|---|---|
NISA | 120万円 | 9.6万円 | 9.6万円 |
通常 | 280万円 | 22.4万円 | 16.8万円 |
合計 | 400万円 | 32万円 | 26.4万円 |
税率20%の場合
400万円×8%×0.8=25.6万円
元本400万円でもまだNISAの方が利益が大きいです。
元本600万円の場合
NISAかつ税率25%
元本 | 利益 | 税引き後利益 | |
---|---|---|---|
NISA | 120万円 | 9.6万円 | 9.6万円 |
通常 | 480万円 | 38.4万円 | 28.8万円 |
合計 | 600万円 | 48万円 | 38.4万円 |
税率20%の場合
600万円×8%×0.8=38.4万円
元本600万円となると、NISAの場合と税率20%の場合で税引き後利益が一致しました。
元本800万円の場合
NISAかつ税率25%
元本 | 利益 | 税引き後利益 | |
---|---|---|---|
NISA | 120万円 | 9.6万円 | 9.6万円 |
通常 | 680万円 | 54.4万円 | 40.8万円 |
合計 | 800万円 | 64万円 | 50.4万円 |
税率20%の場合
800万円×8%×0.8=51.2万円
元本800万円となると、NISAよりも税率20%の場合のが税引き後利益が大きくなっています。
元本1000万円の場合
NISAかつ税率25%
元本 | 利益 | 税引き後利益 | |
---|---|---|---|
NISA | 120万円 | 9.6万円 | 9.6万円 |
通常 | 880万円 | 70.4万円 | 52.8円 |
合計 | 1000万円 | 80万円 | 62.4万円 |
税率20%の場合
1000万円×8%×0.8=64万円
800万円の場合と同様に、NISAよりも税率20%の方が税引き後利益が大きくなっています。
元本600万円がお金持ちライン
計算結果からいって、元本が600万円を超えるとNISAよりも課税率の影響のが大きくなってきます。
NISAは富裕層への優遇だから廃止されるようですが、実際とは異なる理由に思えます。
(富裕層にとっては課税強化のが痛手となる)
積立NISAは期限延長
積立NISAについては、期限延長に向けて動いているようです。
若年層など幅広い世代に資産形成を促すために創設された長期積立枠「つみたてNISA」は期限の延長を議論する。
出典:政府、NISA恒久化見送り 富裕層優遇批判で困難と判断 – SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
折角の節税策なので、これまでNISAを使っていた人も積立NISAを始めた方が良さそうです。
積立NISAには、楽天証券がオススメです。
まとめ
- NISAは恒久化見送りが濃厚
- 課税所得の強化も見送り
- 元本600万円まではNISAのが有利
- 積立NISAは継続される
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